私が債権投信で失敗した理由
先日、このような記事を書きました。
今回はこの記事の中で、私の実体験を元に2つの取引事例を紹介しましたが、失敗した方について掘り下げていきます。まずはおさらいです。

2年半弱で120万円弱を投じて+1,275円ですから、ほとんどの普通預金金利0.001%よりは良いですが、リスクに晒すほどリターン変えられとは言い難い状況にあります。この投信を購入する時にには2.0%程度を期待していましたので、その期待をだいぶ裏切られたことになりましたが、何が失敗だったのかが明確にわかってきました。
購入した2018年はマイナス金利が導入されてすでに2年が経過していました。このためすでに債権の実質利率は落ち込んでいたため、私はこれ以上下がることはほぼないだろう思い、1万口あたり18円程度の配当をNISA口座で非課税で受け取れば年利2%も夢ではないと考えました。
確かに金利は素人目には横ばいだったのですが、少し上昇した期間があったようで、金利が上昇すると債権の時価が下がるという現象により、一時マイナスが2万円程度まで膨らんだことがあります。そう考えると現在は多少持ち直しています。
一つ言えることは、ゼロ金利やマイナス金利になっている地域の債権を買ってはいけないということです。債権は理想的には下降局面に入った時に買うのがベストですが、転換点を認識するのは素人では難しいと考えています。このため、ベストなタイミングを図って買うのは難しいのですが、金利が低くなっていて買ってはいけないタイミングは容易につかめます。0%やマイナスに入っているときは下げる余地が少ないことは素人でもわかります。
私の敗因は、これ以上金利が下がることがほぼないということを認識しながら、債権の価格変動のメカニズムが理解できておらず、尚且つ過去の分配金の実績で期待リターンを設定したところにありました。
私がこの投資信託を買ったときの情報源は基本的にメインバンクにしている新生銀行で取り扱っている投資信託のみでした。国内債権なら為替リスクもなく、普通預金よりは良い金利で安定的に運用できるだろうと思ってフィルターした中では、この投資信託はコストも安い方でした。事実、この記事を書くに当たって改めて新生銀行で取り扱っている投資信託を国内債権でフィルタすると6本が表示され、その6本の中では累積リターンランキングは投資期間3年なら1位、1年なら4位、半年なら2位となっており、悪い選択ではなかったようです。
しかし、信託報酬は0.52%となっており、インデックスファンドと比較すると高めになっています。eMAXIS Slim国内債権では0.12%ですので、比較対象を間違っていたと言えます。井の中の蛙とはまさにこのことかと。
先進国株のように3-5%程度の成長を見込めるものではなく、マイナス金利に突入している日本市場の社債が投資対象になっていますので、債権の利息による収益は1%を切ってくるのではないかと素人ながらに思います。その1%から0.5%もの手数料が引かれるようでは、この先もしばらくはあまり期待できないでしょう。債権への投資によるリターンは小さいのに、手数料だけはきっちりと払わなければならないからです。
期待リターンが小さいのに、高コストのアクティブファンドを買ってはいけない。これが2点目の気づきです。
投資信託における分配金は、運用で発生した収益を分配してくれるものと思い込んでいました。このため、1万口あたり18円程度の収益は出ているものだろうと思ったのですが、実際には運用実態がどうであれば分配金は出せるというのが事実です。運用状況にかかわらず、資産総額の一部を現金化して投資家に払い戻す行為ですので、分配金は投信の運用がうまくいっているかどうかのバロメーターではないと言えます。
実際、ゼロ金利が導入されて2年程度してからの購入でしたので、購入直後に発生した事件が分配金の値下げでした。これまで18円だったものが10円にまで下がりました。これでも1%程度は見込めるので、まあいいかと思っていました。その後前述の基準価額下げが発生し、一時はどうしてこんなことに、、、と思いましたが、今は持ち直しています。
また分配金には課税されます。概ね2割です。分配金は投信の資産を切り崩しているため、再投資したとしても税金分の残高が減ることになります。例えば10,000円分を保有していて、100円の分配金があると、元々持っていた10,000円は9,900円になります。100円の約2割が税金になりますので、残りの80円を再投資しても9,980円に減ります。厳密には課税される分配金と課税されない分配金がありますが、いずれにしても分配金にはメリットがないということは言えます。私は大部分をNISA口座で保有していますので、この点は直接の敗因になっているわけではありませんが、徐々にNISA口座から特定口座に移っており、少ないながら影響を受けています。
1点目の買うタイミングについては株式には当てはまらないと考えています。なぜなら、過去の最高値であったとしてもそれ以上上がり続ける可能性が否定できず、株式は債権と違って絶対買ってはいけないタイミングを発見することは無理と考えています。反対に2点目の低コストインデックスファンドを選びましょうということと、3点目の分配金のないものを選びましょうということは、株式にも共通する投資の基本戦略と言っても過言ではありません。
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