NISA/iDeCoに頼らない節税

確定申告の時期ですので、今日は節税に関するトピックスを取り上げてみます。最初にお断りしておきますと、今日ご紹介する方法はサラリーマンかOLで確定申告をしない人向けです。

NISAやiDeCoは配当や売却益が非課税になる制度でして、特につみたてNISAは長期保有するインデックス投資をする全員が利用するべき制度だと考えいます。しかし、短期の株取引で通常NISAを使っているとか、複数の証券会社に分散したいといった事情からつみたてNISAを利用できないケースもあると思います。

今日は一般口座での取引で税金を押させることができる小技をご紹介します。

利用できる条件

確定申告をしなくていい人、以上です。もう少し丁寧に説明すると以下のすべてに該当する必要がありますが、普通のサラリーマン・OLはほとんどが確定申告などしなくても良いようになっています。

  • 給与が2,000円以下
  • 年末調整されていない給与と給与以外の所得の合計が20万円以下
  • 自営業を営む身内から給与以外の支払いを受けていない
  • 源泉徴収の減免や猶予を受けていない
  • 在日の外国公館などに勤務していて源泉徴収を受けていない

節税方法

次にどのような小技か?ですが、まず一般口座か特定口座の源泉徴収なし口座で保有する必要があります。そして、たまに保有している投資信託なりETFを売却して、即時に買い戻すだけです。この時に注意しないといけないのは、20万円を超えてはならないという点だけです。

解説

下の表がこの方法を実行した場合の例になります。例ですので当初100万円を投下し、10年間運用するとします。毎年5%の値上がりがあり、配当・分配金はないものとしています。10年後に100万円がめでたく162.9万円に増えるわけですが、ここで売却すると62.9万円の譲渡益に20.315%の税率で課税されますので、12.8万円程度の源泉税が発生します。

毎年年末ごろに保有する投資信託もしくはETFを全て売却して、すぐに買い戻すと毎年「買換えによる確定利益」の行に書いてある金額だけ譲渡益が発生しますが、20万円を下回っていますのでこの利益は確定申告しなくて良いことになりますので、税金の支払いを免れることができます。また同時に買い戻すことで取得価額を引き上げることができますので、次年度以降に発生する利益を買換えない時に比べて抑えることができます。これを繰り返すことにより、20万円以下の利益を申告しないという手法で、非課税口座と同じ効果を得ることができます。100万円を年利5%で10年間運用するという条件においては合計で12.8万円程度の節税効果があります。

注意事項

20万円以下なら確定申告は不要ということは投資の勉強をしたことがある人なら、ある程度の方が知っているかとは思いますが、これは20万円以下は非課税という意味ではありません。給与所得者で給与以外の収入がなかったり2,000万円以下である場合には、少額の収入の申告を免除してあげますよという制度です。このため、確定申告をする場合において20万円以下の収入の申告をしなかったら、所得の不申告として取り扱われます。具体的には自宅を購入して住宅ローン控除を初めて受ける時や、ふるさと納税のワンストップ特例を利用しない・できない場合などが考えられます。このように還付を受けるために確定申告をして、20万円以下の譲渡益を申告しないというのはアウトですのでご注意ください。

また、間違って20万円以上の利益を出してしまったら確定申告しないといけなくなります。マイナンバーでバレる可能性大なので、素直に確定申告に向かいましょう。

源泉徴収ありの特定口座で取引していて源泉徴収されていた場合に取り戻せるか?というと、取り戻せません20万円以下は申告しなくてもいいよというだけで、非課税になるわけではありません。このため証券会社が代わりに申告してくれた分は、非課税ではありませんし、自分自身で申告の取り下げなども出来ませんので、取り戻すことは出来ないのです。

あと、所得税は申告しなくて良いことになっているのですが、住民税は申告が必要ですので市役所等で手続きをする必要があります。しなくてもバレないような気はしますが、バレた時は怒らることになると思います。

運用額が500万円程度が限界か?

この方法では20万円未満の利益を一度確定して、確定申告をしないという方法をとりますので、投資額が大きくなってくると効果が薄くなってきます。5%であれば400万円を超えたあたりから全数を買いなおせなくなりますので、400万円を超えてきたあたりからは、こつこつ20万円分の利益を計算して確定するか、ちまちま計算するのが面倒であればそれ以降は特定口座で放置するのが良いと思います。

下がった時はどうする?

上の例のように単調に上がっていく場合はわかりやすいですね。では含み損が出ている時はどうでしょうか?含み損が出ている時には買い替えして、確定申告をして売却損を翌年以降最大3年まで繰り越せる制度を利用するか、放置するかの2択です。まぁ、普通に考えると放置しますね。放置するというのは何もしないことですが、もう片方は売買して、わざわざ確定申告で損失を繰り越して、その後に利益が出たらまた繰り越し損失と相殺するための確定申告を行うということになります。しかし損失を申告してわざわざ取得価額を下げなくても、元に戻ってくるまでは売却益が出ませんから、放置でよいでしょう。

私のケースとまとめ

なお、この方法はふと思いついたのですが、私は毎年確定申告が必要になってきていますので、この方法は使っていません。素直に特定口座の源泉徴収ありとつみたてNISAを使っています。この方法を利用できる方は注意事項に気をつけながら検討してみてはどうでしょうか?ただ、つみたてNISAなりの制度を優先的に利用するほうが楽ちんです。iDeCoは年金ですから、60歳までロックされるため、比較対象にはなりませんが公的な優遇から溢れた場合の小技でした。