【時事ニュース】児童手当の特例給付の年収制限設定について

昨年秋頃に政府(財務省?)が検討中と報道されていましました、年収1,200万円以上の世帯の児童手当の特例給付不支給が決定されました。

児童手当とは

0-3歳までは月15,000円、4歳から15歳まで10,000円が支給される子育て支援政策です。年収制限があり、大体960万円を超えたあたりからは特例給付として5,000円に減額された支給になっています。

変更点について

今回の変更は特例給付を受ける世帯に年収上限1,200万円程度を設定するものです。子供が産まれた時から特例給付だった場合、15歳まで受給し続けると90万円程度もらえていたものが0円になります。我が家の場合は2歳と5歳の子がいますので、総額で120万円程度の子育て支援金を失うことになりました。

児童手当は本当にお得なのか?

児童手当は2010年、民主党政権下でこども手当として所得制限を設けずに月々2.6万円を支給するという公約が中途半端に実現したもので、結局財源がないということで1.3万円の支給として開始したものです。この時、追加で月々1.3万円がもらえるだけでしたら良かったのですが、同時に15歳以下に対する所得税の扶養控除が廃止されました。公的支援として養うものが多い場合には、必要な費用も多くなるための税金を減額するための控除ですが、ここから漏れたということになります。その根拠は、こども手当で支給するから税金は減らしませんよということです。

では、どのような影響が出たかというと、2010年以前はこども1人あたり38万円の扶養控除がありました。税率は所得額によって変わってきますが、年収で大体450万円くらいだと税率5%で650円くらいだと税率10%ですから、この辺りのボリュームゾーンの人にとっては1.9万円から3.8万円の所得税が少なく済んでいたということになります。これに対して年間で1.3万円×12ヶ月=15.6万円の支給です12-13万円からお得であったのは事実です。現在の特例給付水準で仮に年収1,400万円では税率30%ですから、税額が11.4万円となり、高所得層もこども手当の方がお得でした。

その後悪夢の民主党政権が終了し自民党復権後に、こども手当が現在の児童手当となりました。この変更によって年間の支給額が6万円なのに対して、従来の扶養控除のもとでは年収1,400万円までの税率23%であっても8.7万円ですので実質増税となっていました。

以上の通り、児童手当は多くの人にとってはお得な制度である一方、高所得層にとっては負担増になっています。ただ、負担額も数万円程度ですので所得の再分配の観点ではちょうど良いバランスであったのかもしれません。

世間の反応

意外と高所得者なんだから別に困らないでしょ?とかいう肯定的な意見が少なく、該当する人からは税金を多く払っているのに公的支援は少ないっといた毎度の愚痴と、関係ない人からも少子化がどうのこうとのいう意見が多く見られました。

私の意見

税金が多いのに支援が少ない論

確かにそのとおりだと思いますが、徴税と公共サービスや生活保護などを含むセーフティネットは、そもそもそういうもので、所得の再という考え方があり、これはもう仕方ないことだと考えています。民間の商売ごとでは、例えば航空会社の上級会員だったりテーマパークでもプライオリティレーンなど、お金を払うほど優遇されるものが多いのですが、この感覚で役所のサービスを考え出すとこういった考え方になってしまいます。

ただ、現在の税制では納税額を収入で計る仕組みはあっても、金融資産の保有に対する課税はなされませんので、裕福であっても仕事をしていなかったり、利益を出さないといった手法で納税を回避することがテクニカルには可能になっています。このため、保有資産が10億円の無職の人よりも私の方が税負担が大きいという事象が発生していて、この点については私は不満を持っています。

少子化が加速する論

そもそも少子化がなぜ起こっているのか?ですが、確かに子育てには結構なお金がかかりますので、経済面が心理的なハードルになっている場合もあるかと思います。しかし、年収1,200万円を超えるような人が16年にわたって分割で支払われる90万円程度の支援金があることを理由に、子供が欲しいとかもう要らないとか考えるかというと、微妙な気がしてきますよね?少なくとも私は児童手当は子供が欲しいかどうかを考えるときに、重要なファクターではありません。なお、今2人いますがあと1人欲しいと思っています。

お金の事情と少子化で考えると、少なくとも特例ではない児童手当の総額である200万円ほどを一括でもらえるとか、高卒くらいまでの教育費を含めた1,000万円くらいを一括でもらえるといったことをすれば、出産インセンティブとして受け取られて出生率なども上昇するかもしれません。

私の希望

児童手当もない、扶養控除もないというのは制度の矛盾があり、どちらかでの対応を切に願います。まぁ、無くても困る金額ではありませんが、制度上の矛盾が納得感を得られなくしています。しかし、配偶者控除や配偶者特別控除は年収1,000万円で消えました。同じ年収であっても配偶者であれば控除がなく、配偶者以外の扶養者であれば控除があるというのはどういった理由なのか全く理解できず、この点も矛盾であると考えています。

しかし、この矛盾が政府方針としては正であるというのであれば、今後15歳までの子供や配偶者と同じように扶養控除が消えていくことが想定され、今後の増税も心しておく必要がありそうです。

裏技かも

今回の変更では、所得の世帯合算は見送られました。世帯の中でもっとも所得の高い人で考慮されます。このため、世帯を分けるというのが裏技として使えるかもしれません。私の場合は、妻と子ども2人と4人世帯です。妻と子どもだけを別の世帯として住民登録し、妻が申請すれば専業主婦は収入0円ですから児童手当ももらえるんじゃないか?と思いました。世帯を分けて困ることは全くなく、健康保険証も維持できますし、妻の国民年金3号被保険者も維持できます。単身赴任を同じ場所でやっているようなものです。一度妻の実家に住民票だけ移転した後に、元の住所に戻すときに私の世帯ではなくて新しい世帯として登録すれば可能そうです。少々面倒で、グレーな感じがありますので、指摘された場合のペナルティーが怖くて、チキンな私は試してみる予定はありませんが、どなたか試した方がいらっしゃればフィードバックをいただけるとありがたいです。