住宅ローンを見直してみた

昨日の記事で触れましたが、長期金利が上昇して私が最も困るのはバブルの崩壊によるリスク資産の目減りではなく、住宅ローンの金利上昇です。

住宅ローンの現契約

私は3年ほど前に住宅を買い替えた際に、楽天銀行で住宅ローンを借りました。当時住信SBIネット銀行が0.444%で最安でしたが、買い替え前の住宅ローンが住信SBIネット銀行だったために、同一行から複数の住宅ローンが借りられず、仕方なく楽天銀行にした経緯があります。当時の楽天銀行の金利は0.507%で他にももう少し安い水準の銀行がありましたが、8大疾病による就労不能をカバーする保険が楽天銀行にはありましたので、金利の最安ではなく保険の内容で楽天銀行にしました。その後の金利の推移は以下の通り、ジワジワと上がってきました。

年月金利
2017年9月0.507%
2017年11月0.517%
2018年2月0.527%
2020年11月0.537%
楽天銀行 住宅ローンの変動金利推移

楽天銀行 住宅ローンの現在

これから住宅購入を考えている方や、他行からの借換えを検討されてているかたむけに楽天銀行住宅ローンの特徴をお伝えします。私が契約した時からと比べると保険の内容がグレードアップしています。

  • 8大疾病から全疾病と怪我に対象を拡大
    • 1年間の就労不能で全額を保障
  • 月間15日の就労不能でその月の支払いを保障
  • ガンと診断されたらローン残高の半額を保障

また、他のネット銀行では概ね事務手数料が借入額の2.2%であるのに対して、楽天銀行は借入額にかかわらず33万円です。ですから、1,500万円以上の借入では楽天銀行の方が手数料が安くすみます。店舗型銀行では最初にかかる手数料は数万円程度ですが、団信の保証料が後から金利で上乗せされるか、最初に一括で支払う必要がありますので、手数料の観点では楽天銀行の33万円で団信も無料というのは画期的と言えます。

また楽天銀行は変動金利の基準金利自体が低く、優遇幅が小さくなっています。このため、契約後に変動金利が落ちるということがあり得ますが、過去形契約していた住信SBIネット銀行は基準金利が3%くらいで2%くらいの優遇をていました。Webに表示される金利がどんどん下がっていく局面では、優遇金利を高くすることによって金利を落としていたため、私は変動金利であるにも関わらず金利下落局面で金利低下の恩恵を受けることはありませんでした。このため、SBIでは契約時の金利から上がることはあっても下がることはないと思われる一方で、楽天銀行は実際に上がったり下がったりすると思われます。

逆にデメリットになる部分ですが、楽天銀行の住宅ローンは預金のシステムとは統合されていないようで、ログインするアカウントは同じですが、別のサイトから確認しなければなりません。また、システムの内容も非常に簡素なもので、借入残高と現在の金利、最終支払日くらいしかわかりません。またシステムが繋がっていないせいか、マネーフォワードなどのアカウントアグリゲーションサービスでローン残高を引っ張ってくるということもできません。以前利用していた住信SBIネット銀行では、返済予定表なども見えていましたし、繰上げ返済もできていたのに比べると、楽天銀行のシステムがかなりしょぼく見えます。せめて返済予定表くらいは見えるようにしていただきたいところです。

他行の状況

住宅ローンランキングを調べてみたところ、auじぶん銀行が驚異の0.310%でした!!しかし、予想に反せずケータイの契約が優遇条件のようで、今後30年以上もKDDIにロックされるのは本望ではありませんので除外です。

次点がジャパンネット銀行の0.380%です。プラス0.1%でガンと診断されたら半額、0.2%でガン診断で全額補償のオプションがあります。ただ、就労不能の補償はありません。

そして、以前お世話になっていた住信SBIネット銀行は0.410%ですが、住友信託銀行でいくつかの条件を満たせば0.380%まで下がります。保障は楽天銀行の内容からガン診断で半額保障を差し引いた内容です。

ジャパンネット銀行は就労不能がないため却下、住信SBIネット銀行は金利が0.157%安く、保険も今より良くなるので検討してみることにしました。

支払額の試算

現在約3,470万円を残期間は32年弱近く残っていますので、3,470万円32年の条件で現状の0.537%、住信SBIネット銀行で住友信託サービス利用なしの0.410%、住友信託サービス利用ありの0.380%での返済額を比較していました。

金利0.537%0.410%0.380%
返済総額37,872,895円37,106,095円36,926,425円
現在からの差額-766,801円-946,470円

結構な差額になりました!!タダでこの差額が浮くのであればすぐに乗り換えるのですが、借り換えにかかる費用についても考えてみます。

住宅ローン借り換えに必要な費用

まず、事務手数料です。住信SBIネット銀行やジャパンネット銀行の場合は2.2%ですから763,400円かかります。加えて、楽天銀行の抵当権抹消登記と借り換える銀行の抵当権設定登記が必要になります。司法書士費用は数万円程度ですが、抵当権設定にかかる登録免許税が0.4%ですから、138,800万円かかります。合計で90万円超の費用が発生することとなります。金利負担の軽減を相殺する費用がかかることが確認でき、この辺りで一気に萎えてきました、、、

では、楽天銀行内で新しい保障内容を得るために借り換える場合はどうでしょうか?以前、住信SBIネット銀行で借りていた時に、当初固定で借りていたのですが変動に切り替えたことがあり、その際は手数料のみでした。念のため楽天銀行の窓口に電話して確認したところ、抵当権の再設定が必要と言われてしまいました。抵当権に債権が引っ付いているので、債権が変わる場合には再設定が必要とのことです。以前にSBIで借り換えた時には再設定は不要だったので、銀行によって再設定の要否の差が出るのかもしれません。電話口の人の誤解かもしれませんが、必要だとすると50万円前後のコストということになります。こちらは金利の違いがありませんので、50万円払ってガンになったら半額チャラと8大疾病以外の就労不能1年でチャラ、15日で月額返済額の保証を得るのかどうかという判断になります。

結論

一昔前に金利差が0.3%くらいあれば借り換えを検討と聞いたことがありましたが、0.15%程度しか差がない現状では厳しい結果になりました。

他校に乗り換える場合は、プラマイゼロ付近で追加の補償内容を買う形に見えてきますが、軽減される金利負担は今後33年にわたって分割で得られるメリットである一方で、コストは最初にドーンとかかります。このため現在価値に直すと年利1%で試算すると、10万円以上のマイナスとなってしまいます。私の場合は就業不能保険は勤め先の団体保険がありますので、そこに上乗せするのにこれほどのコスト負担は魅力を感じませんので、現時点ではパスです。楽天銀行の来月以降の金利の推移を見ながらということになりそうです。

一方、楽天銀行内での借り換えは、特にガンで半額の特典に魅力を感じており、引き続き抵当権設定登記がいるのかどうかを突っ込んでいきたいと思います。ただ、今すぐ飛びつきたいという感じではないです。