NISAとIDECO

2020年9月29日

前回、税金目線で一般口座・特定口座の解説をしました。

今回はその税金を節約するための制度であるNISAとIDECOについて解説していきます。

まず、NISAやIDECOはいずれも税金を節約するための方法として様々なメディアで紹介されていますが、簡単にいうとNISAは取引によって発生した利益を非課税にするための制度です。あくまでも投資の一環としての取り扱いになりますので、配当受け取り時と売却時にかかる税金が全額免除になるというものです。

一方IDECOですが、こちらは個人年金の一種です。自分で老後に備えるための資産作りを支援するためのもので、投資ではなくあくまでも年金です。税金節約効果についてですが、今払っている所得税および住民税が下がる効果があります。年金への拠出を社会保険料控除として申告することができるため、年収によってどの程度節約できるかが変わってきます。もちろん年収が高い方が節約効果も高くなります。ただ、ここだけを謳うメディアが多いのが要注意でして、年金を受け取る際に受け取り方によっては課税されます。つまり一定の節税効果はあるものの、課税の先送りと言っても過言ではありません。また、IDECOは加入できない人もいます。会社にIDECOに入れるかどうか確認する必要があり、また提出する書類も会社に書いてもらってハンコをついてもらわないといけないというサラリーマンにとっては非常に面倒なものです。ちなみに、私はIDECOには加入できない会社に勤めているということがつい最近わかりました。

また、投資と年金という性格の違いから、NISAはいつでも売却して現金化することが可能なのに対して、IDECOは原則60歳までは現金化することができないという違いがあります。資産を流動的な状態で持っておくというのは、会社の倒産やリストラへのリスクへ備えることから重要で、同じリターンが得られるもので選ぶことができならいつでも現金化できた方が良いと考えています。

NISAには一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAといくつか種類があります。

一般NISAつみたてNISAジュニアNISAIDECO
加入条件大人なら誰でも大人なら誰でも19歳まで50歳まで
投資可能金額120万円/年40万円/年80万円/年1.2-2.3万円/月
(サラリーマンの場合)
投資期間5年20年5年60歳になるまで
流動性いつでも売却可能いつでも売却可能18歳になるまで
引出し不可
60歳になるまで
引出し不可
制度期間2023年まで2037年まで2023年まで
節税効果利益の全額非課税利益の全額非課税利益の全額非課税支払額の30%程度の
所得税還付・住民税軽減
(年収500万円の場合)
受取時に課税される

ある程度まとまった投資資金がれば、2023年までは一般NISAでその後つみたてNISAにしても良いかと思いますが、一定額の積み立て投資で年間40万円というのは月間33,333円ですので、ほとんど方はいきなりつみたてNISAスタートで良いと思ってます。

この40万円枠を超えて投資するゆとりがあれば、特定口座で行うべきです。なぜなら、ジュニアNISAとIDECOは一定期間現金化できないためです。もしそれまでの間の十分な流動性を確保している自信があれば、子供がいるならジュニアNISAいなければIDECOを検討しても良いでしょう。

つみたてNISAの良い点はその金額設定、期間のみならず、投資先が限定されるというところにもあります。一般NISAはいわば何でもありだったわけですが、つみたてNISAは金融庁がOKした低コストな投資信託のみに限られます。キャッチーな商品名で儲かりそうだけど、実は手数料が高く持っているだけで資産が目減りするような商品だったといったことは避けることができます。はじめのわからないときに、ある程度お墨付きの商品に絞られているというのは、良いことだと思います。金融庁のお墨付きは信用できるものなのかという議論はありそうですが、私が見た感じでは長期投資に向かない商品が弾かれていることは間違いなさそうでした。