逆72の法則

投資の世界に72の法則という言葉があります。簡易的な複利計算をするためのもので、72を年利で割り算することで、元本が2倍になるまでの大まかな期間をすぐに求めることができるという非常に便利なもので、投資をかじったことがある人なら一度くらい耳にしたことがあるのではないでしょうか。

この72の法則はあくまでも概算用ですから、特に短い期間では大きな乖離が出てしまいます。例えば1年で倍にしようと思ったら年利は100%じゃないといけないですが、この方程式では72%で倍になることになってしまいます。3年で倍にしようと思うと、72÷3で24となりますが、年利24%で3年運用すると、大体1.9倍になります。このため、1年とか2年では大きくずれるけども、4-5年とかになると大体2倍近くになりますので、やはり概算用としては非常に便利です。

運用期間計算上の年利(72÷運用期間)複利で得られる元利
1年72.00%1.720倍
2年36.00%1.850倍
3年24.00%1.907倍
4年18.00%1.939倍
5年14.40%1.959倍
6年12.00%1.974倍
7年10.29%1.984倍
8年9.00%1.993倍
9年8.00%1.999倍
10年7.20%2.004倍
11年6.55%2.009倍
12年6.00%2.012倍
13年5.54%2.015倍
14年5.14%2.018倍
15年4.80%2.020倍

今日はこの逆、投入資金が一定の期間を経過した後に増やしたい金額にするには、どれだけの年利で運用しないといけないのか?を計算するための便利な方法をお伝えしていきます。ちょっとわかりにくいと思いますので、例にします。たとえば、今1,000万円持っていて、20年後に3,000万円にしたいとすると、年利でいくらあれば良いのか?を求めていきます。

Googleで複利計算などと検索するとカシオ計算機さんの便利なWebが出てくるのですが、今日はカシオ計算機さんのWebの紹介ではありません。

iPhoneやパソコンの計算機アプリを使います。計算に必要な値は、何倍にしたいか?と年数です。例をもとにすると20年で3倍にしたいわけですから、3と20を準備します。そしてiPhoneの電卓アプリを起動して、横向きに持ちます。3を入力した後に下のスクリーンショットの記号 y√X を押します。

次に20を入力して=を押します。

こうして求められた数値1.05646が短年の元利伸び率になりますので、最後に元本分の1を引いてパーセンテージにした5.647%が20年で3倍にする為に必要な年利ということになります。

逆に年利と期間からいくらになるのかを計算するときには、年利に1を足した数字を年数分だけべき乗します。先ほどの5.647%で20年の場合で答え合わせをしてみます。必要な数字は1+年利ですから1.05647と、運用期間20になります。

まず1年後の元利の伸び率である1.05647を入力して xy を押します。

次に20を入力して=を押します。

結果約3倍になっているということがわかります。

この方法は複利の期間が1年でない場合でも使えます、例えば3ヶ月おきの複利だった場合には、20年のところを80回に置き換えます。そうすると3ヶ月間の利率が求められますので、年利換算する時は簡易的に4倍するか、複利ですのでxyを使います。実際にやってみますと同じ条件で1,000万円を20年で3倍にしたいけど、複利のサイクルが3ヶ月おきだったとします。20√10,000,000 すると1.013827と出てくると思いますので、3ヶ月で1.3827%あれば良いということです。年利に直すと、1.3827%の4回分複利なので 1.0138274となり1.056465と出てきますので、大体5.65%くらいの年利ということになり、上の方で計算した年利と大体同じになります。

暗記は大変だと思いますが、1年間で元本+利息になり、その次の年は(元本+利息)に金利がかかりますので、必要な回数分だけ(1+金利)をかけていくことで、元本と利率で経過年数後の総額が計算できるということさえ頭に入れておけば、いつでも思い出せます。何回も掛け算したものを逆にするときは√記号を使って割り戻す感じですね。

わかったところでいつ役に立つんだという話もあるのですが、過去の運用実績を年利換算するときなんかにも使えますので、頭に入れておいて損はないかと思います。