たわら男爵の記事「無分配投信の問題点」

私から一方的に勝手に尊敬しているたわら男爵がこちらの記事を公開されていました。たわら男爵、いつもためになる記事をありがとうございます。

http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-2071.html

私はかねてより、ETFよりも分配金を出さない投資信託の方がコスト面で有利と主張してきていました。

しかしこの記事を読んで激震が走りました。このままeMAXIS Slimシリーズを保有し続けると将来何かが起きるんじゃないか?という心配事です。

確かに以前から少し気になってはいたのですが、目論見書には決算日に分配金を出すと書いておきながら分配金を出していないのは何故だろうと思っていました。しかしこの記事によって謎が解けました。

投資信託を持つ側として課税されるタイミングは2つあり、分配金が支払われた時と売却時です。それぞれ、配当所得、譲渡所得となります。個人投資家の目線では個別株と同じように、配当が出た時、売った時ということであまり違いはないように思えるのですが、投資信託は運営中に保有している株から配当が出たり、債券のクーポンから利子を得ることがあります。直接保有していれば、これらのインカムゲインが入ってきた段階で即座に課税されるのですが、投資信託ではこのタイミングでは課税されません。あくまでも受益者が分配金を受け取った時に初めて課税されるため、分配金を出さなければ本来課税されるべき部分を運用に回すことができ、投資者からするとお得な気がしますが、徴税側からすると徴収すべき税額が入ってこないことになります。

このため、分配金を長期間出さないということは問題視されているようですが、eMAXIS Slimシリーズに限らず他の低コストファンドも長期間に渡って分配金を出していないものばかりです。はっきりと最大何年までならOKとか決まっていれば、そのレギュレーションには従うと思うのですが、たわら男爵の記事の中で引用されている情報でも3−4年と書いてあるのに、実際には3−4年を超えて分配金を出していないファンドだらけというのは、各社がアウトと認識していないためではなかろうかと考えています。

色々と調べた結果、それなりに信頼できそうな情報源で、本件に関する情報が整理されていた文献はこちらになります。

https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/kk20-1-6.pdf

出てくる単語が専門的で難しいのと、長すぎるので全部を読む気は起きなかったのですが、まとめると、投資信託が受益者に利益が発生した時点で課税される仕組みのことをパススルー課税と呼び、現在ではパススルー課税が基本となっているが、退職金などは運用期間中にも課税するための特別法人税というものが存在している。ということでした。

特別法人税は確定拠出年金にもかかるものですが、制度開始来現在まで課税が停止された状態のままになっています。もし、長期間分配を出さないことがアウトとされた場合は、この特別法人税がかかってくることになろうかと思いますが、税率が1.173%となっていますので、毎年かかってくると思うと馬鹿にならない金額ですね。ちょっとしたアクティブファンドよりも高いコストになります。

最終的に、私なりに達した結論としては、分配金を出さないファンドは租税面で課題視されているものの、現在の制度ではそれが可能になっている。しかし、あまり財務省や国税庁を刺激すると特別法人税払えや!ってなるかもしれないリスクはある。ということになりました。あっているかどうかわかりませんが、、、 ただ、ひとつ思うは、現物株から出る配当はすでに法人税が課税された後の利益の一部ですから、そこにさらに課税するのはどうかということで配当控除が用意されいます。個人で考えると、給料をもらうときに税金が天引きされて、今年はちょっと給料増えたから家族にもボーナスを支給したら贈与税がかかるみたいなイメージですが、ややこしすぎるのでもっとシンプルにして欲しいですね。

以前の記事でETFより分配金を出さないファンドの方がお得ですよとお伝えしたのですが、もしETFと同じように分配金を出すようになったとしても、楽天カードの投信つみたてが残っている間はまだ優位であることに間違いありませんので、すぐに投資行動を変える予定はありません。ただ、投資家として直接見えにくい部分ですが、影響は大きいので引き続き関心を持ってニュースを眺めたいと思います。