怪しい投資話の見分け方

GFSの掲示板で、みんなの大家さんは年利7%で元本割れしてないので、株などに投資して値動きにビクビクするよりも良いんじゃないですか?という質問がありました。

実は私はSBIソーシャルレンディングを始める際に、値動きがなくて基本的に放置できて預金よりも利回りが良いものを探していたときに、みんなの大家さんを検討したことがありました。みんなの大家さんはソーシャルレンディングと同じように出資を募り、匿名組合契約により不動産の賃借契約から得た利益を分配するというものです。

不動産投資において年利7%というのは十分に可能な範囲ですし、過去に元本割れがないということからこれからも元本割れはしないに違いないと当時は思ったのですが、最低投資額が100万円であることから、もしも元本割れしたときにはダメージが大きいし、ソーシャルレンディングは単なる金貸しで事業を行なっているわけではないのに対して、みんなの大家さんは運営主体が出資を募っているわけですから、過去問題になった安愚楽牧場と同じような結末に至る可能性を排除できず、見送りとしていました。これが3年前の真面目に投資に取り組み始めた時の出来事です。

GFSの質問を見かけ改めて調べてみたところ、元本割れしない理由について、REATのように売買されるものではないという点と、投資額の20%を運営元が出資し一般投資家の投資分に劣後して投資するので、不動産価値が下落しても20%以内であれば運営元が損失を被るために安心して投資できると説明がありました。

特に知識がない状態でこの文を読むと安心できるかもしれませんが、運営側の立場に立ってみて20%の評価価値下落によって、運営元は100%の損失を被ることになります。不動産価格は基本的に上がっていくものと思いますが、果たしてこのようなリスクを本当に取っている事業が持続可能かというと、かなり疑問符がつきます。

私自身ではこのレベルでしたが、有志の方が根掘り葉掘り調べてくれました。

巷の怪しい投資話とは違って、集めた資金を使って実際に不動産の運用はしているようですが、共生バンクという会社を頂点としたグループ会社内で資金が循環しているようで、主力事業の一つが国産バナナの生産と販売ということでした。川ごと食べられるバナナということで話題性があったためか、著名YouTuberのヒカキンさんの動画なんかも掲載されていました。この事業で確認できるだけでも数百億円単位の出資を募っているようなのですが、バナナが1本1,000円前後で販売されていますので、低くみて100億円の7%だと1本1,000円のバナナを70万本販売する必要があります。一本1,000円のバナナを日常的に食べる人はいないでしょうから、贈答用として考えてこれほど売れるとは考えにくいですね。

そして、出資の募集額が徐々に増えていっていますので、何やら出資金をそのまま分配に回しているような気がしてきます。このように疑問が払拭できない案件に投資するのは危険ですし、もし投資するなら無くなっても良い前提で投資する必要があります。

こちらも有志の方が見つけてくれたのですが、みんなの大家さん関連のアグレオバイオという会社のホームページから、皮まで食べられる国産バナナが伊勢神宮に奉納された画像が見つかりました。穿った目で見れば胡散臭く感じますが、信じている状態で見ると、この事業はすごくうまくいっているんだと写るかもしれません。

伊勢神宮外宮奉納品「ともいきバナナ」

ここまでくると、私の感覚ではもはや1円たりとも任せる気にはなれないのですが、最後に自分だけではここまで見分けられなかった3年前当時にどうすればもっと正確に見分けられたかを考えてみました。ソースの情報はみんなの大家さんのホームページだけだとします。みんなの大家さんだけでキーワード検索すると、結構な割合で肯定的な情報も出てきます。否定的なものもありますが、数の上で肯定的なものの方が多く出てきますので、なんとなく大丈夫なんじゃないかなと思ってしまいそうです。ところが、この会社の代表者の方の名前で検索すると、否定的な情報が相当数を占めていました。何かしら怪しいなと思った時は、その会社の素性や経営者の素性を探ることが、怪しい投資話の判断材料として有効そうということがわかり、GFSの投資仲間を通じた気づきがあったこの数日でした。

自分でリスクも納得して投資して損をする分には仕方ないのですが、巷の評判や広告を鵜呑みして勝手に信じ込んだ投資で失敗したら後悔しかありません。投資は自己責任と言いますが、うまい話ほどよく調べるということに尽きますね。